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小切手の振出人は,法律上当然に支払担保責任を負う(小12条前段)。この支払担保責任は絶対的なもので,これを排除する趣旨の文句(支払無担保文句)は,記載されなかったものとみなされる(無益的記載事項,小12条後段)。 (a)資金関係の存在の必要性支払証券である小切手の支払を確実にするために,小切手法は資金関係について厳格な規制をしている。
すなわち,所持人が小切手を呈示する時点で,振出人が処分しうる資金が支払銀行に提供されていること,かつ,この資金を振出人が振り出した小切手によって処分することができる契約(小切手契約)がなければならない(小3条)。 要するに,振出人と支払人との間には,資金の存在と小切手契約が存在しなければならない。
これらの関係がなくて小切手が振り出された場合,振出としての効力はあるが振出人は過料の制裁を受ける(小71条)。 実際には,小切手契約は,銀行と取引先との間の当座勘定取引契約の中に含まれ,かつ支払資金は当座預金として存在している。

(b)当座勘定取引契約当座勘定取引契約は,当座取引先である顧客が取引銀行に当座預金を預け入れ,その当座預金を支払資金として,その銀行を支払人として振り出した小切手について,その銀行が支払うことを約する契約である。 これは当座取引先と取引銀行との間の支払委託契約という性質を有する。
この契約は,主として当座勘定規定によって規制されている。 小切手の譲渡方法として,手形の場合と同様に裏書による譲渡(記名式または指図式小切手の場合)のほかに,交付による譲渡(無記名式または持参人払式小切手の場合)が認められている。
選択持参人払式および無記名式の小切手は,ともに持参人払式小切手とみなされる(小5条2項・3項)。 この方式(持参人払式)の小切手が一般に利用され,この場合に,小切手は譲渡の合意と小切手の交付によって譲渡される。
小切手の所持人は,権利者としての形式的資格が認められ,また善意取得(小21条)や抗弁の制限(小22条)が認められる。 ただし,呈示期間経過後に譲渡された場合は認められない(最判昭38.8.23民集17.6.851)。
持参人払式小切手は裏書による譲渡は認められないが,裏書がなされた場合は,裏書人に支払担保責任を負わせている(小20条)。 もっとも,これによって,持参人払式小切手が指図式小切手に変わるわけではない(小20条但書)。
これらの小切手は,手形と同様に法律上当然の指図証券であるから(小14条1項),指図禁止の文言のない限り,裏書によって譲渡できる(小14条2項)。 裏書の方式・効力などは,手形の場合とほぼ同様である(小15条〜23条)。
ただし,小切手の支払人は裏書をなすことができず,支払人のなした裏書は無効である(小15条3項)。 支払人の裏書を認めると支払人が裏書人として担保責任(小18条1項)を負うことになり,引受禁止の趣旨に反するからである。
なお,支払人の営業所相互間の裏書は,例外的に通常の裏書の効力を認めている(小15条5項但書)。 ほかに,小切手の支払人に対してなされた裏書は受取証書としての効力を有するにすぎない(小15条5項)とされたり,裏書人は引受担保責任(小18条1項参照,手15条1項)を負わず,謄本上の裏書(手67条3項参照)や質入裏書(手19条参照)も認められないことなどが,手形の譲渡と異なる点である。

(a)支払呈示期間小切手の支払呈示期間は国内小切手(振出地と支払地がともに国内にある小切手)については,振出の日付から10日とされ(小29条1項),振出日は含めない(小61条)。 呈示期間の起算日は振出の日付として記載した日とするとの規定(小29条4項)は,それは初日を算入して計算する趣旨ではなく,呈示期間の計算は小切手上に振出日として記載された日付を基準として計算するという趣旨である。
(b)支払呈示の場所支払呈示の場所は,支払人である銀行の営業所であり,第三者方払の記載があれば,その第三者(小8条)の営業所である。 所持人は直接支払銀行で支払呈示してもよいし,手形の場合と同様に,手形交換所を通じて呈示してもよい(小31条参照)。
小切手の支払呈示を受けた場合,支払人である支払銀行の調査の範囲及び程度については,手形の支払の場合と本質的には異なるところはない。 小切手法は,指図式小切手の支払人は裏書の連続の整否を調査する義務はあるが,裏書人の署名の真否を調査する義務がない(小35条)ことだけを定めているにすぎず,手形のように支払をする者が悪意または重大な過失のない限り免責されるという規定(手40条3項)がない。
しかし,この点について,特に為替手形の支払人が支払う場合と異なる取扱いをする理由がないので,小切手の支払人に悪意または重大な過失がない限り,その支払は有効である(支払の結果を振出人に負担させることができる)と解される(手40条3項類推適用)。 実際には,持参人払式小切手がほとんどであり,この小切手の所持人は権利者としての形式的資格が認められるから,支払人が悪意・重過失なく支払えばその支払は有効と解される。
偽造または変造の小切手につき支払人が過失なく(相当な注意をもって印鑑照合をした結果)支払った場合には,支払人は免責されその損害は振出人が負担すべきものとされている(当座16条1項)。 (a)意義所持人が紛失・盗難により小切手を失った場合に,喪失者は振出人に依頼して,振出人から支払人(銀行)に対し,その小切手の支払を停止するよう依頼することができる。
このように,振出人が支払人に対して支払委託の意思表示を小切手外で撤回することを支払委託の取消(小32条)という。 それは,小切手契約それ自体を取り消すのではなく,小切手契約に基づいて振り出された特定の小切手について,その支払委託の意思表示を撤回するものである。
(b)方法支払委託の取消は,振出人から支払人に対して口頭・書面などどんな方法でも,撤回の意思表示をすればよく,小切手を回収する必要はない。 振出人から支払人になされる事故届(盗難届や紛失届など)は,支払委託の取消の意思表示を含むと解される。
(c)効果支払委託の取消がなされると,支払人は支払権限を失うので,支払をしてもその結果を振出人の計算に帰属させることはできずに,支払人自身が負担することになる。 しかし,受取人ないし所持人の受領権限や振出人に対する遡求権に影響を及ぼすものではない。

支払委託の取消は,呈示期間経過後にのみ効力を生ずる(小32条1項)。 すなわち,呈示期間内の取消は,その効力が直ちに生じないで呈示期間経過後まで効力の発生が停止される。
したがって,支払人が呈示期間内になされた取消に反して支払ったとしても,その結果を振出人の計算に帰属させることができる。 支払委託の取消に制限を認めたのは,取消を無条件に認めると,小切手の所持人の利益は害され支払証券としての小切手の機能が阻害されることになるからである。
小切手は持参人払式のものが多いため,盗難・紛失などの事故が起きたときに,不正に所持した者が容易に支払を受ける危険性がある。 それらを防止するために,線引制度がある。


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